「500万円以上の大きな工事を受注したいから、そろそろ建設業許可を取りたい」
そんな時に必ず立ちはだかる一番の壁が「経営業務の管理責任者(通称:経管)」というルールの存在です。
(※令和2年の法改正により、正式名称は「常勤役員等」に変更されましたが、現在も建設業界では「経管」という呼び方が一般的です)
「役所や法律の言葉は難しくてよくわからない…」「うちの会社はこの条件をクリアできているの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設業許可の要となる「経営業務の管理責任者」の仕組みや最新の条件について、行政書士が知識のない方でもバッチリわかるように解説します!
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経営業務の管理責任者(常勤役員等)とは?なぜ必要なの?
建設業許可を取得するには、いくつかの厳しい条件をクリアする必要がありますが、その中でも最も重要でつまずきやすいのが「経営業務の管理責任者がいること」です。
なぜ経管が必要なのか?
建設業は大きなお金が動き、万が一工事に欠陥があれば人命にも関わる重要な仕事です。
そのため、「ただ工事の技術がある(職人としての腕が良い)」だけではなく、「建設業者としてのお金のやり取りや、適切な経営・管理ができる経験豊富なトップがいるか」を国や自治体が厳しくチェックします。
その「経営のプロフェッショナル」として会社に常勤している人のことを、経営業務の管理責任者と呼ぶのです。
【初心者が陥りやすい罠】「専任技術者」との違いは?
多くの方が混同しがちなのが「専任技術者(専技)」との違いです。
・経営業務の管理責任者: 会社の「経営面・お金面」を管理する責任者(社長や役員など)
・専任技術者: 工事の「技術面」を管理する責任者(国家資格を持つ人や、実務経験が豊富な職人など)
役割は全く異なりますが、両方の条件を満たしていれば、1人の人間が「経管」と「専任技術者」を兼任することも可能です。
(一人親方から法人成りした社長などは、兼任するケースが非常に多いです)
経管になるための条件は?大きく分けて2パターン!
経管になるためには、特別な資格(試験)は必要ありません。
その代わり、過去の「経験年数」が厳格に求められます。
条件は大きく「役員(個人事業主)自身に十分な経験がある場合」と「補佐者を置く場合」の2パターンに分かれます。
まずは早見表を見てみましょう。
【経営業務の管理責任者になるための経験要件 早見表】
| パターン | 必要な経験(代表的な例) |
|---|---|
| 【基本1】役員自身に経験がある (法人の場合) | 建設業の役員として5年以上経営業務を管理した経験 |
| 【基本2】事業主自身に経験がある (個人の場合) | 建設業の個人事業主(または支配人)として5年以上経営業務を管理した経験 |
| 【例外1】役員に準ずる地位での経験 | 建設業に関し、役員に次ぐ地位で5年以上経営業務を管理した経験、または6年以上経管の補助をした経験 |
| 【例外2】補佐者を置く場合 (※令和2年新設基準) | 建設業の役員経験2年以上を含み、トータルで5年以上の役員経験があること。 +【申請する会社で以下の補佐者を直接置くこと】 財務管理・労務管理・業務運営について、それぞれ「申請会社内で5年以上」の業務経験を持つ補佐者を、役員の直下に配置する体制があること。(※1人で3つの経験を兼ねることも可能) |
大前提!絶対に「常勤」でなければならない(名義貸しはNG)
経管は「常勤役員等」という正式名称の通り、その会社に毎日出社してフルタイムで働いていること(常勤性)が絶対条件です。
「他の会社の取締役と兼任している」
「知り合いに名前だけ貸してもらって許可を取る」
といったことは法律で固く禁じられており、審査の段階で社会保険の加入状況などを通じて厳しくチェックされます。
経験を「証明する書類」が最大の難関!
「自分は一人親方として10年やってきたから大丈夫!」と思っても、口頭で伝えるだけでは許可は下りません。
客観的な書類で過去の経験を証明することが必要です。
主に以下のような書類が求められます。
- 役員・事業主であったことを証明する書類:
確定申告書の控え(個人の場合)、履歴事項全部証明書(法人の場合)など。 - 本当に建設工事を行っていた実績を証明する書類:
工事の請負契約書、注文書、請求書(工事内容が明記されたもの)、およびその工事に係る入金記録のある銀行の預金通帳など。 - 常勤であることを証明する書類:
健康保険証(事業所名が記載されたもの)など。
【要注意!】令和2年の法改正で「社会保険の加入」が必須に
以前は社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)に未加入でも建設業許可を取ることができましたが、令和2年10月の法改正により、適切な社会保険への加入が許可の絶対条件となりました。
要件を満たしていても、社会保険の手続きを怠っていると申請そのものが弾かれてしまうため注意が必要です。
都道府県でルールがバラバラ。過去の書類は絶対に捨てないで!
建設業許可を自力で取ろうとする方が一番挫折しやすいのが、この「工事実績の証明」です。
実は、当事務所にも「要件は満たしているはずなのに、役所で書類が足りないと言われてしまった!」というご相談が非常に多く寄せられています。
特に注意が必要なのが、提出する書類の基準が申請する都道府県によって全く異なるという点です。
例えば、5年間の経験を証明するのに「1年につき1枚の契約書や請求書があればOK」という自治体もあれば、「1ヶ月に1枚証明が必要(5年で60枚!)」という非常に細かな資料提出を求める自治体もあります。
「古い請求書は捨ててしまった」「現金払いで通帳に記録がない」といった理由で、泣く泣く許可申請を先延ばしにするケースも少なくありません。
将来的に許可を取りたいとお考えの方は、工事名が記載された請求書や契約書、入金記録(通帳)などは絶対に捨てずに保管しておきましょう。
まとめ
経営業務の管理責任者(常勤役員等)は、建設業許可を取得するための最も重要な柱です。
- 最低でも5年以上の経営経験(またはそれに準ずる経験と補佐者の配置体制)が必要。
- 名義貸しは一切不可。フルタイムで常勤し、適切な社会保険に加入していること。
- 経験があるだけでなく、過去の確定申告書や請求書、通帳などの書類で完璧に証明しなければならない。
- 審査の厳しさやルールは、各都道府県によって異なる。
「うちの会社の状況で要件を満たせるのかな?」と少しでも疑問に思ったら、まずは専門家に状況を確認してもらうのが一番の近道です。
【建設業許可に関するご相談は当事務所へ!】
「一人親方から法人成りしたけれど、今の状態で許可は取れる?」
「過去の請求書が飛び飛びになっているけれど大丈夫?」
「補佐者を置いて申請したいが、組織図や規定の作り方がわからない」
など、建設業許可や経営業務の管理責任者に関するお悩みはありませんか?
当事務所では、複雑な要件の確認から、過去の書類の精査、各都道府県のルールに合わせた行政への面倒な手続きまで、専門家がしっかりとサポートいたします。
ご自身で悩んで時間を浪費してしまう前に、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください!