令和3年(2021年)6月に完全施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」により、一定戸数以上の賃貸住宅を管理する事業者に対して賃貸住宅管理業の登録が義務化されました。旧制度(国土交通大臣告示に基づく登録制度)は既に廃止されており、現在は新法に基づく登録が必須となっています。
この記事では、登録が必要な事業者の条件、必須要件となる「業務管理者」の配置や財産要件、そして原則となっている電子申請(GビズIDの利用)の手順について、行政書士が分かりやすく解説します。スムーズな登録申請と事業運営の参考にしてください。
賃貸住宅管理業の登録制度とは?(200戸以上は義務)
賃貸住宅管理業法に基づく登録義務化
賃貸住宅管理業法は、借主と貸主の利益保護を図り、賃貸住宅市場の健全な発展を目的として制定されました。この法律において「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の所有者(貸主)から委託を受けて、以下の業務を行うことを指します。
- 維持保全業務(点検、清掃、設備の修繕など)
- 維持保全業務と併せて行う金銭管理業務(家賃、敷金、共益費の受領など)
※「金銭管理業務」のみを実施する場合は、本法の登録対象外となります。
登録が必要な事業者(管理戸数200戸以上)
賃貸住宅管理業を営む事業者のうち、管理戸数(自己所有物件の管理を除く)が200戸以上の事業者は、国土交通大臣への登録が法律で義務付けられています。法人の場合、本店・支店を含めて法人単位での一括登録となります。
登録義務があるにも関わらず、無登録で200戸以上の管理業務を行った場合は法律違反となり、罰則の対象となります。
200戸未満の事業者について
管理戸数が200戸未満の事業者には登録義務はありませんが、国土交通省は任意の登録を強く推奨しています。登録事業者となることで、オーナー(貸主)や入居者からの社会的信用が向上し、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できるためです。
賃貸住宅管理業の登録要件(ヒトと財産の要件)
賃貸住宅管理業の登録を受けるためには、主に「業務管理者の配置」「財産的基礎」「欠格事由に該当しないこと」の要件を満たす必要があります。
1. 業務管理者の配置義務(ヒトの要件)
営業所又は事務所ごとに、賃貸住宅管理に関する専門的な知識と経験を有する「業務管理者」を1名以上配置しなければなりません。
業務管理者として認められるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 要件A: 管理業務に関する2年以上の実務経験(または実務経験に代わる講習の修了)+ 賃貸不動産経営管理士試験などの登録試験に合格した者
- 要件B: 管理業務に関する2年以上の実務経験(または実務経験に代わる講習の修了)+ 宅地建物取引士(宅建士) + 指定講習を修了した者
【重要】業務管理者が退職等で不在になった場合
新たに業務管理者を選任するまでの間、その営業所では新規の管理受託契約を締結することが法律(法第12条)で禁止されます(※既存契約の管理業務の継続は可能です)。
万が一、不在のまま新規契約を締結すると「30万円以下の罰金」の対象となる恐れがあります。また、管理者の交代時は「30日以内の変更届」も必要となるため、急な退職等でお困りの際は速やかに専門家へご相談ください。
2. 財産的基礎・欠格事由(会社・個人の要件)
事業を適正に遂行するための財産的基礎が求められます。具体的には、直前1年の法人税(個人の場合は所得税)の納付すべき額や納付済額を証する書面などの提出が必要です。
また、申請者や役員が、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者や、過去に登録を取り消されてから一定期間を経過していないなどの「欠格事由」に該当する場合は登録できません。
賃貸住宅管理業の登録にかかる費用と有効期限
賃貸住宅管理業の登録申請、および更新にかかる国への納付金・標準処理期間は以下の通りです。
| 新規登録免許税 | 90,000円(新規登録申請時に納付が必要です) |
|---|---|
| 更新手数料(5年ごと) | 電子申請:18,000円 / 書面申請:18,700円 |
| 標準処理期間 | 申請受理から90日間(90営業日以内に結果が出ます。※書類不備等の補正期間は含まれません) |
| 有効期限 | 5年間(有効期間が満了する日の90日前から30日前までに更新申請が必要です) |
賃貸住宅管理業登録の申請手順【原則は電子申請】
国土交通省への登録申請は、「賃貸住宅管理業登録等電子申請システム」を用いた電子申請が原則となっています。郵送も可能ですが、電子申請の方が圧倒的に早く処理されるため国も強く推奨しています。
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1GビズID(gBizIDプライム)の取得
電子申請システムにログインするためには、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。アカウントの申請から承認までは2〜3週間以上かかる場合があるため、真っ先に手続きを行いましょう。
※注意:行政書士へ申請の代理を委任する場合であっても、委任者(貴社ご自身)のGビズIDプライムアカウントの取得が必須となります。
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2要件の確認と事前準備
業務管理者の要件を満たしているか、欠格事由に該当しないかを確認します。要件B(宅建士)を活用して指定講習を受講する場合は、事前に講習を修了しておく必要があります。
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3必要書類の準備と登録免許税の納付
登録申請書、略歴書、業務の状況に関する書面、誓約書、法人の場合は株主等に関する書類、納税証明書などを準備します。電子申請の場合は、添付する各種証明書類をPDF化しておきます。また、登録免許税を納付します。
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4電子申請システムで申請
GビズIDでシステムにログインし、必要事項の入力とPDF化した書類のアップロードを行います。(システム利用可能時間:7時~24時 ※毎月第4水曜日の日中はメンテナンスで利用不可)
複雑な賃貸住宅管理業の登録申請は行政書士にお任せください
賃貸住宅管理業の登録は、業務管理者の適格性や財産要件の確認、役所の証明書類を含めた膨大な添付書類の収集・作成、そして電子申請システムの操作など、非常に手間と時間がかかる手続きです。特に日々の管理業務やオーナー様への営業活動でお忙しい事業者様にとって、不備なくスムーズに90日間の審査を通過させることは大きな負担となります。
官公署へ提出する書類の作成および代理申請(電子申請を含む)は、法律上、行政書士の専権業務です。
専門家である行政書士に依頼することで、早く正確に申請を行えるだけでなく、経営者様の手間を大幅に削減し、本業に集中していただくことが可能です。行政書士相川事務所では、GビズIDの取得サポートから、必要書類の収集・作成、電子申請の代行、そして登録後の毎年の定期報告まで、賃貸住宅管理業に関する法務を全面的にサポートいたします。
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